翻訳と受動態

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言語ファイルを翻訳する際に、あるとき気がついたのは受動態、原文がいわゆる受け身である場合の訳し方です。例えば、以下の原文を例にします。

The password has been updated.

これは直訳すると、

パスワードは更新されました。

といった感じになります。

これは文法的にも原文に対する忠実的な面でも正しい、間違いではありません。しかし、ちょっと違和感を感じませんか?

パスワードの更新があったことは確かなわけですが「誰が」行ったのでしょうか。そして「誰のために」行ったのでしょうか。更新を行ったアプリケーションが利用者の指示に基づいて行ったわけです。

これは日本語がでは主語を省略する場合が多く、実際にその方が自然な場合も多いわけです。上記の場合も主語を補って、パスワードの更新を誰が誰のために行って考えてみると、次のようになります。

私(アプリケーション)はパスワードを更新しました。

元のメッセージはアプリケーションが利用者に結果を報告しているわけで、ここで改めて主語を省略すると、

パスワードを更新しました。

と受動態から能動態に切り替わりました。こちらの方が利用者に表示するメッセージとしては自然でしょう。

受動態で翻訳されている「ファイルはアップロードされました」といった場合を見たような記憶がありますが、気持ち悪く感じる例です。

私自身は翻訳を専門とするわけではありませんが、しばらく前に気づいたことを改めて書いてみました。

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